ディズニー映画の「炎上」問題

またまた、ハリウッドで「多様性」をめぐる問題が起きました。

ただ今回は「多様性が映画に足りていない」ということが問題になったのではありません。それとは逆に「映画に多様性を入れないでほしい」という意見が多く出てきたのです 。

ほかの記事で何回もお話ししてきたように「多様性」とは

人種・民族・性別・性自認・性的指向・年齢・社会階層・身体的能力・属性・宗教・倫理的価値体系・国籍・政治的信条を含むが、これに限定されない「人間のさまざまな違い」のこと。

こう定義すると少しわかりにくいかもしれません。もっと簡単に言い換えると、

多様性とは

欧米で、多様性(英語で diversity)がビジネスや教育・子育てにおいて注目されている理由は、

からです。したがって例えば、さまざまな肌色を持つ登場人物が映画の中で出てくると「多様性が豊かな映画」として認められ、その映画と映画を作った制作チームが業界の中で評価されることが多いのです(これまで、映画や小説の登場人物はほとんどが白人だったため)。

さて、ディズニーで一体何が起きている?

問題の背景を理解するために、ここ数年、ハリウッドでどういう映画が制作されているかを理解しないといけません。一見すると「結局は大人の事情でしょう?」と思われがちですが、実は、この記事の最後に説明するように、子どもと子育てに大きく影響する話なのです。

問題の背景

簡単に起きた経緯などをこちらでリストアップします。

  • 「リトル・マーメイド」や「ロード・オブ・ザ・リング」などといった名作映画が、多様性のあるキャストを取り入れて、最近リメイクされることが増えてきました。
  • 制作会社が多様性の豊かな映画を作る意図は、私たちが住んでいる世界をより正確に表現するためです。つまり、世界は白人ばかりじゃない。より多くの肌の色を持つを俳優を出演させ、世界のどんな人が映画を観ても共感できて楽しめる映画を作るべきだと主張しています。
  • しかし、ディズニーは、今までのアニメなどの中の登場人物は、ほとんど白人で「人類の多様性を受け入れない会社だ」というイメージがありました。そのイメージを築き直すために、ここ数年、映画に白人だけでなく、いろんな国やいろんな人が登場する話を映画化しています。

そして、政治が絡んでしまった

ディズニーの映画に多様性を取り入れ始めたことについて、保守派のアメリカ人が、大反対しました。そこで、ディズニーの作る映画は何となく二極化することになっていきます。

アメリカの二極化

ディズニーだけでなく、2016年頃から全てのアメリカの社会問題の二極化が激しく進んでいます(もともと国として二極化していたけど、さらに悪化しました)。

過去にも同じようなことが起きた

オバマ元大統領は、アメリカ初の国民皆保険制度の法律を成立さようとしました。

アメリカで非常に必要とされている法律だったにも関わらず「保守派」と「リベラル派」で意見が割れて「法律を応援する人はリベラル!リベラルの考えを無理やり広めないで!」というアンチキャンペーンが、共和党から始まりました。

その結果として、法律は通らず、未だに2700万人もの国民が健康保険に入れていないのです。

「リトル・マーメイド」実写版の炎上

前置きが長くなりましたが、「リトル・マーメイド」の実写版は、この多様性の問題で大炎上しました。主人公のアリエルを黒人の女優が演じたからです。

反対した人の反対理由は、次のようなものでした。

反対の理由

「無理やり多様性を入れているのではないか」

「”最近のトレンドは多様性だ”という理由だけで多様性を映画の中に無理やり取り入れている」と多くの人が主張しています。

ここで皆さんにもぜひ考えていただきたいのですが、大事なことは「無理やり」をどう定義するかですね。

ちなみに、これに対して、ディズニーは「多様性を取り入れるのは美しいこと」と主張していて、これからも、もっと多くの実写やアニメーション映画の中に多様性を取り入れたいと考えているそうです。

もともとのストーリーを崩さないでほしい」

ストーリーの主人公の人種を変えることによって、もともとのストーリーを変えているからやめてほしいというファンの声も多く見られました。

確かに

というファンの気持ちも、わからなくもないところです。

しかし、ここで「芸術」について考えないといけないと思います。歴史の中で同じストーリーをいろんな観点から語る、さまざまなアート(映画・小説・絵画・ダンス・オペラ・バレー)で語ることがあります。映画も芸術のひとつだと考えると、人種を変えることは、芸術の進化といえたりもします。

子どもにどう影響する?

さて、この「多様性」の話は、どのように私たちの子どもに影響するでしょうか?

この記事を読まれている多くの方は日本人です。日本人の小さな子どもたちがアニメを観た時に、毎回、同じような白人の主人公を観たら、実際の世界と違う世界を見ることになります。

それだけではないです。

日本人の子どもは「世界に私のような日本の人が活躍していない」と思うようになり、自己価値に自然と影響します

子どもを対象に映画・音楽・アニメなどを作っている人は、子どもに間違った世界ではなく、自分の国が出てこない世界ではなく、実際の世界を見せる責任があるのではないかと思うのです。

レバイン式子育ては、子どもを「一個人」として扱って「一個人」として尊重するグローバルな子育て法として開発したものです。今回の記事は少し偏った記事になってしまいましたが、子どもを尊重するために、どうしても「この世界にあなたにも立派な価値がある」と伝える必要あると私は思っています。

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